源氏物語には、こんなことが書かれている。

 源氏物語の文章には、実際どんなことが書かれているのでしょうかと言うと、こんなことが書かれているのです。

たとえば、有名な冒頭の一文は、こんな風になります。原典と訳の対比がしやすいように、短く切ってみました。
現代語に直した本文 原文
どの帝の御代だったか、
女御や更衣がたくさんお仕えしていた中に、
たいへん身分が高くはないけれども、
大変お気に入りだった方がいた。
いづれの御時にか、
女御更衣あまたさぶらひたまひけるなかに、
いとやんごとなき際にはあらぬが
すぐれてときめきたまふありけり。

これ以上に訳することは、多分無理だと思います。時代特有の単語というのは、下手に分解してしまうと、原文の味を損ねてしまうので、たとえば、「帝」はまだしも、「御代」とか「女御」とか「更衣」とか、そのへんがわからないとなったら、私はそこで御本人のためにも辞書の御利用をお勧めします(待て・女御や更衣についてはここを見てね)。

能書きはそれとして…もう少し長い文章を見てみたいと思います。これから出すものは、「紅葉賀(もみじのが)」という章で、「源典侍」とのかかわりに関した短い部分です。(源典侍についてはここを見てね。
これは、物語のなかでも、まとまりが短くてかつ読んで面白い場所です。「あさきゆめみし」でも、たいへん楽しい場所ですね、比較してみても面白いと思います。

凡例
・右に本文、左に原文です。帳じりをあわせる為、適宜改行しました。
・原文は「新潮日本古典集成 源氏物語 二」(新潮社)によりました。