その六
<甘党西遊記・後編>

前、比丘尼ちゃんがお露ちゃんの子猫クエをしたとき、出会ったその名も饅頭屋。
「甘党西遊記」後編のはじまりはじまり。

後編のいけにえ…もとい、マヌカン君は、神主のナギ君です。
飛龍レストア用アカウントの三番目で、神職衣装の神主編などをやってもらうつもりで保管中。
神職風に髪型を直しなどしたら、「俺(サモ)にあんまり似てないな」ばっさり。よよよ。
「腕力特化のバ神主っす」

「準備はいいですかナギさん、では行きましょう、天竺…じゃない、大坂へ」
「うは、比丘尼さんどーしたんスかその格好。いつもの器用装備は?」
「これは甘党西遊記です。雰囲気が重要なんです。
 つべこべ言わずついてきなさい。ねーちゃんきっくしますヨ」

そして再会・饅頭屋さん。
「あなたをこのクエストの招いたのはほかでもなく、貴方の腕力が頼み。よろしくおねがいしますよ」
「御意った御意った」

饅頭屋さん…まあ、その辺にいる商人グラフィックとたいして…いや、全然かわらなかったりして。
「饅頭屋さーん」



「比丘尼さん、自分何にも言ってないっスよ。変っスよ」
「それがクエストというものです。話を聞いておあげなさい」

饅頭屋さんは、事情を尋ねると、昨今来る変な客のことをしゃべり始めます。
「いわゆるひとつのデビルカスタマーの集まる店、っスかね」
「災難な…(#拝む)」
「でも、いちいち注文どおりの品を作る饅頭屋さんもたいしたもんっスね。ヨモギの配合間違った草もちは苦いしスジが多くて草もちよりみどり色のb」
ねーちゃんきっくしますヨ」

「…やっぱり、つくったんスね」
「そりゃ、饅頭屋さんにも意地がありますから…」
「切り分けて三百人分のぼた餅…」
考えるだけで胸焼けしそう。いやでも、これは今の饅頭屋さんに言わないでおきましょう。
饅頭屋さんは、
「ぼたもちに、笹の葉を巻かなくてはいけない。もちろん、一個三百人前のぼたもちに見合った笹を、である。
それについてはこちらに秘策があるので、とりあえず、笹の葉を集めてきてくれないか」
と。

「早く見たいっスねぇ、三百人前のぼたもち」
「ですね、あまり見たくもない気もしますが」
「それで、笹の葉は20枚っスよね」
「そうです。伐採ではなく、ドロップのようなので、この辺の敵を狩ればいいはずなのですが」
「なんか困ったことでも?」
「どの敵をたおしていいのか、あんちょこに書いてないのです」
「え」
そうです、因香さん(の中の人)、あまり昔にやったクエなので、敵の名前を失念。
「今のナギさんでも十分戦える敵であることは確かなようなので、とにかくいきましょうか」

「あんなの(摂州野犬)でも、出るっスかねぇ」
「まずはドロップを確認しましょう
「あれ、比丘尼さん、頭装備がかわってますよ」
「天狗の兜巾は雰囲気だけですから」

「意外と出るっスよ」
「そうですね、意外と早く20枚集まりそうですね」
ざっくざっくと狩をしている間に、ふと曇るナギ君の表情。
「どうかしましたか?」

「自分…とんでもないことをしてたっス」
「何がですか」
「『壊れた大鎧』のままで戦っていたっス」

がーん。←遠くから聞こえる因香さんの落胆の音

「私も修理があるから、町に戻って、一度着替えましょうか」
まだ装備の神主バージョンをそろえていないので、装備は大切に。

装備をいつもの小直衣に着替え、再び戦闘開始。
出たり出なかったり。それでも集まる20枚。ゲーム時間にして一昼夜か、二昼夜か。

これを饅頭屋さんに届けると、クエストが進みます。
「饅頭屋さーん、笹の葉20枚お待ちぃ」

「…やっぱり、その頭巾なんスね」
「頭巾ではありません、天狗の兜巾です」
「頭巾、(中の人が)嫌いなくせに…」
「甘党西遊記です。今は雰囲気が重要ですから」
「にんにきにきにきにんにきにきににんがさんぞー…♪」
「トンボリに突き落とされるのと、ねーちゃんきっくと、どちらがよいですか?」

笹の葉を持ってくると、饅頭屋さんは怪しい作業を始めます。
どうなるんだろうと待っている二人の前に、いよいよあのぼたもちが…

マッドサイエンスチックな作業をみまもることしばし。
二人の前にぼたもちが出てきます。
スペックは

ざっとこんな感じ。
そのほかの装備などの重量を加えて、ナギ君の総重量145/71
(総重量…腕力等から算出された、キャラクターの持てる限界の重量。アイテムにはすべて重量があり、この場合、ナギは71まで持っても、野外では普通に動くことができる。71を超えると、移動速度に関係する器用さが超えた分に相応して下がり、総重量の二倍になると歩くことすらおぼつかなくなり、三倍を突破すると歩けなくなる)
「いかに腕力重視でも、LV14のナギさんには少し荷が重かったですか?」
「重いどころの話じゃないっすよ、比丘尼さん、たすけてくれッス〜」
「今助けますよ、そのために二人徒党を組んだのですから」


「はい、ぽちっとな」
「…あ゛あ゛あ゛、どうなるかとおもった」
「気合は目に見えて減りますが、すばやい移動ができます。
 さっさとこの怪しげなぼたもちを届けてしまいましょう」
「び、比丘尼さん、片方持って…」
「ナギさん、我慢なさるのです。耐えるのです」
「清やんの家はどこっスか?」
「ちょっと待ってください、今探して…あれ、ここではなかったようですね。どこだったかしら…あんちょこにも載ってなくて」
「び、く、に、さ〜ん」

摂津和泉のあちこちを探して、二人の気合もすっかり尽きたころ、大正デモクラシー…じゃない、灯台モトクロス…でもない、灯台下暗し。
大坂城と目と鼻の先に、清やんを発見。

とすっとぼけ手いる清やんに、

文字通り容赦ないぼたもち攻撃が炸裂。

本当に出来上がってきた一個で三百人前のぼたもちの前に、清やんもたじたじ。
ついに謝る清やんに、比丘尼さんの説教が小一時間続いたとかどうとか。
余談になりますが、饅頭屋にこの報告をする前に清やんに話かけると、清やんの

フードファイターへの華麗なる?転向を見ることができます。

饅頭屋さんに報告をすると、饅頭屋さんは踊りあがって喜び、この恩義はわすれません、旅先でも饅頭屋をお忘れなくと、こんな本をくれます。品そのものはたいしたことはないのですが、コントのような西国クエはやっぱりやってて面白いです。

「ナギさん、落語のネタに『まんじゅうこわい』というものがあるのをご存知ですか?」
「ああ、『最後に苦いお茶が一杯怖い』やつっスね」
「そうです。
 今回のことでよくわかりました。私は甲府にもどったら、忍者の方に饅頭を常備するよう広めようと思います」
「どうしてっスか?」
「饅頭は怖いのですよ。アン殺ができるのですから(C)桂米朝師匠
「…お後がよろしいようで…」



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