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今明かされる悪の女帝プレイの裏側を…だいぶ記憶が薄れているのですが、 お届けいたしましょう。 このページはリプレイ風創作です、なので、維紫=プレイヤー=壷(清原)と解釈してお読みください。 <前ロードまでのあらまし> 維紫は、壷家人のセーブデータの中に、立志武将としてコンバートされた。 壷家人は演義経由蜀ヒイキなので、蜀プレイがたいがいなのだが、あるセーブのエンパ武将一覧にて… 備「おや、これはたしか、趙雲、お前が育てた…」 雲「は、維紫のようですね…」 備「おお、すでに階級も一桁か、敵国もなかなかわかっているな」 雲「立志出身武将は初期値がただのエディットより若干ながら優遇されておりますから…」 備「鼻が高かろう」 雲「今我が勢力下の都市を侵攻しようとしていた主将であったことをお忘れですか殿?」 そして、そのロードも蜀の制圧で終わり… ♪顔アリも顔ナ〜シも〜そぞろ歩〜くセーブデータ〜♪ 雲「雷姫、あちらでは随分優遇されたようだな」 紫「はい、推挙されたら皆さん武将鍛錬と兵力補充を一斉に提案してくれて」 雲「…それはなによりだ」 大勢いる登場人物の中で、竜胆二本が並んでいるのは結構目立つ。 そのなかで、周瑜がやおら輝きだし、えっほいえっほいえっほいと手を上げ下げはじめ…輝き終わるとまた、いつものように小喬と水入らずに何か話を続ける。 紫「あら、セーブデータが別のメモカにコピーされたみたいですね」 雲「壷がお前を動かしたくなったのだろう、壷家人もだいぶ手を出したが、設定そのものは壷のものだからな」 壷<維紫ちゃ〜ん維紫ちゃ〜ん、三番テーブル…じゃなかった、君主でプレイご指名よ〜> 雲「いきなり英雄集結か? しかし竜胆二本でこの乱世、仕切るも悪くなさそうだ」 紫「それが…演義シナリオの中の新勢力になるみたいです〜」 雲「なにいっ?」 ジャーン ジャーン ジャーン 例の効果音。出陣の合図である。 紫「御縁があったら、お会いしましょう。将軍、ご武運お祈りします〜」 雲「しばらくは敵軍というに、武運も何もないではないか…」 はい、タイトルどん。 そしてターンは過ぎ…勢力図の隅っこで細々と始まった維紫国(仮名)は、 はや大陸の名のある列侯と方を並べるほどの一大勢力になった。三国志…とは行かないが、まあ、五国志ぐらいにはなっているだろうか。 「う〜」 君主の玉座で提案された政策を暫し見つめ 「全国人材捜索、長柄鍛冶、全将補充・大、真空書生産!」 ぷすん、という顔で維紫は言う。となりで、「これはね、東洋の計算機だよ」と言わんばかりにそろばんの音がし、 「…維紫、今の指示で軍資金1000割ったぞ」 と、建国当初からくっついてきた壷家人作のエディ男が言う。 「それに、指示が一回残った。何をする?」 「…お金がないなら臨時徴税すればいいじゃない」 「なっ」 エディ男はそろばんを取り落とし、 「悪政に走るのか」 「…もう遅いも〜ん、墓荒らしもしちゃったも〜ん」 維紫は玉座でぷん、とあさっての方向を向いた。やがて、 「維紫様〜人材が見つかりましたぞ〜」 「誰? どうせ張三李四の類でしょ、主将の空いてる土地に適当に突っ込んで」 「は、はあ…」 「それとね、」 報告に来た顔ナシ武将に追い討ちをかけるように 「臨時徴税しといてね、わかった?」 「産業振興・大のほうがまだましだと思うのだが」 「いいの、今は臨時徴税したい気分なのっ」 …維紫、すっかり悪政の道まっしぐらである。曹操勢力を早々に壊滅させ、劉備勢力と孫策勢力、維紫国その他に分かたれた大陸は、どうやらまだまだ、統一の兆しが見えそうもない。 「ほれ、同盟国救援の謝礼金」 エディ男が維紫の前にどすん、と軍資金の袋を置く。 「やった、これで次のターン侵攻戦ができる」 「維紫、製作ターンに一つ提案をしていいか」 「何?」 「『特殊鍛冶』。俺の基礎体力で何とかなったからいいものの、長柄レベル4でそのほか2レベルは不公平もいいとこだろう」 エディ男はホウ統モーションなので、特殊武器を使用することになる。維紫の出陣には竜胆なのに、エディ男の武器が夢幻杖は確かに少し偏っているかも知れない。そう言うエディ男を同盟国救援に行かせる維紫も維紫である。 「だーってぇ」 「だーってぇ、じゃない」 「だってだってだって、いつまでたっても劉備様の国落とせないんだもん!」 「…八つ当たり悪政か…」 エディ男が処置ナシ、と呟く。 「侵攻戦するのは勝手だが維紫」 「何?」 「戦には金がかかる。そして、あわよくば誰か捕縛できたとする。登用するにも金がかかる。それは忘れるな」 「捕虜登用するのもお金かかるの?」 「仕様です」 某OS会社のサポセンのように言われては、維紫も、すぐには侵攻戦、の言葉が出ない。 「それじゃ、どうすればいいの?」 「まあ、孫策勢力や周りの小さい国は、同盟を結んでいればいいだろう。うまくすれば救援でそれなりに潤う。それを切り詰めて、定期収入の大敵イナゴの襲来に耐えながら、劉備勢力を一国ずつ、なるべく隣接国が少なくなるように侵攻してゆく」 「何でそんなめんどくさいことするの?」 「…国境にはエース級を置けと言うのが定石と言うものだろう。エース級を集結させておくにも、国境は短いに越したことはない。それに、だ」 「うん」 「国の雇用限界をオーバーすると、自動的にリストラが起こる。劉備勢力でも例外じゃない」 「うん」 維紫の目が輝いてくる。 「つまりだ、劉備勢力を頭からつぶさなくても、お目当ての趙将軍が野に下ることもありうる。そうしたら全国人材検索を一度ためして在野状況を確認後キャンセル、人材登用で出てくるのを待つ」 「そうそう、それそれ、それいこう!」 維紫はエディ男の説明に首が落ちるんじゃないかと言うほど頷いた後、 「じゃ、隣接してる劉備様の国に、レッツ侵攻!」 「その前に『特殊鍛冶』をしてくれ…」 「あ、政略ターン忘れて戦略ターンはいっちゃった」 そのときエディ男は、「リストラされる前にこっちからやめようかな」とも 思ったが、あいにく(というかなぜか)エンパで下野は出来ないのであった。 絶影鐙に白虎牙に真空書、真乱舞書に乱舞極書に活丹。それに竜胆である。維紫の通った後にはペンペン草も生えない。しかも、兵站戦一本つなげてものの数分で一国ゲット。千人斬り大将軍でステータスMAXならでは荒業である。 「劉備勢力も大分人数が減ったな」 エディ男が言う。 「趙将軍がリストラされた」 「ほんと? じゃ、この政策ターンは全部私に任せてね」 全国人材検索…いるいる。 「よし、人材登用ぽちっとな」 費用1000がちゃりーん、と飛んでゆき、出てきた顔は…張三李四。顔アリも少しいるが、維紫はがっくりと、適当に階級が高いのを雇う。 「もう一回人材登用〜」 …スカ。 「もう一回〜」 「チョット待て、もう軍資金がぁぁ〜」 エディ男の悲鳴と共に人材登録名簿には… 「やった、将軍きたー」 即採用。捕縛して登用するより金のかかる方法であったことを、エディ男は後悔したが始まらない。 「と、いうわけで」 「何がと、いうわけなんだ」 入ってきた趙雲の顔は苦りきっている。 「ここまで来る間に、国土を見たが、民が随分苦しんでいるではないか、今まで何をしたんだ、何を」 「はい〜お金がないときは臨時徴税と〜あと、…い、遺跡の発掘を少々…」 「『陵墓発掘』か」 「ちょっとお金かかるけど、兵を出してもらったり…」 「…『臨時徴兵』だな」 「後は…」 「『世紀の大徴発』だな」 趙雲は魂が抜けるようなため息をついた後、維紫の額にごつごつごつごつ、と立て続けに数発竜拳を叩き込む。 「いたいたいたいたいたいたいた、痛いです将軍」 「私は、お前をそんな悪い子に育てた覚えはない!」 「だって…お金ないし、人材募集してもヘボいのしかこないし…」 「国土に民の怨嗟の声が満ち満ちているのがお前には聞こえんのか雷姫」 「だってぇ」 「だってもヘチマもない」 「いちどやってみたかったんですぅ、悪の女帝プレイ」 その一言で、趙雲はヨシモト顔負けの腰砕けで床にのめった。 趙雲は、こんなブラッディマリーに育てた覚えはないのだが、と、馬上で一人ごつ。立志モードで、自分のそばにへとへとでやってきた維紫に「あの肉」を渡してやっていたあの頃が懐かしい。 そんなこんなの末にいわばバージンマリーで立志からエンパの世界に送り出して、やってきてみたらこれだ。 「私は、育て方を間違えたろうか」 そうして今日も、彼は侵攻ターン、プレイヤー武将として豪竜胆片手に、切り込みに行くのであった。後ろで、主将でついてきた凌統と甘寧がやいのやいの漫才をしているが、そんなものはもう聞こえない。 「えっとね、短期同盟を組んで、切れたら侵攻ね。その間は、大徴発とかして、できるだけアイテムをためて、そうそう、人材登用するときは、大体アイテム要求してくるけど、ケチなことしちゃだめよ…」 維紫は、だいぶドドメ色(維紫国の色だから仕方ない)になった勢力図をみて言う。中盤まで維紫の右腕だったエディ男ははるかかなたの前線主将に送り出されてそれきりである。 「次の侵攻ターン、切り込みお願いしますね、将軍」 にっこり。よくまあその口でさっき「私の強さも知られたものね、このまま突き進むわよ」と、悪政続行宣言をしたものだと、趙雲はまた、魂が抜けるようなため息をついた。 次の侵攻ターンで条件がそろえば、維紫は本当に悪の皇帝になってしまう。 いいのか? 師匠としてこのままでいていいのか? ふるふると震える犬のつぶらな瞳を見るような気持ちだが、維紫は全く気がついていない。 そして。じわじわ真綿で絞め殺すような侵攻ターンを繰り返し、エンディング。金ぴかの玉座で嬉しそうにしている維紫を、自戒をこめた苦い顔で趙雲は見ている。 「結局、とめられなんだか」 気がついたら、実機ムービーでは維紫の隣で馬に乗ったり拱手したりするようになっていた。もって生まれた忠義馬鹿の性分が憎い…と言うより、悪政皇帝をやってしまうような弟子でも、気になるものはなるものなのだ。 その後も、維紫は皇帝の玉座で若い男をはべらしたり、溜め込んだ財宝をみてきゃらきゃら喜んだりしているそうだ。 武官文官を引き連れて、のんびり釣りでもと思った趙雲は、三人並んで釣り糸をたらす。 「あの皇帝…どう思う」 「どう思うと仰られましてもねぇ…ほら、言うじゃないですか、『かわいいから許す』…っと、きたきたっ」 武官が一匹釣り上げ、文官も、 「なに、データ上書きしてしまえば消えてしまいますから…っとっと」 と一匹釣り上げる。ピクリともしない自分の釣り糸の先を見て、 「…今度は英雄集結で、善の皇帝の見本でも見せるしかないか、師匠として」 そううなだれる趙雲なのだった。 |
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