[1]雨夜の品定めの中身


結論としては、

・上流階級の娘は周りがフォローするから個性がわかりにくい
・下流階級の娘はそもそも源氏や頭中が相手をするようなものではない。
  ↓
・よって、ほどほどの懸想で恋愛ゲームを楽しみたいなら、中流階級がいい

という感じで落ち着いています。この場合の中流というのは、昔身分は上流でも時勢の流れに逆らえず凋落したものと、受領階級が財を得て羽振りがよくなった中流、どちらでもかまいません、という、なんともアバウトなくくりです。
 そして、通じて言われているのは、
「自分をよく見せようとして逆にボロを出すような、そういうタイプはごめんだね」
女は控えめでよしと(日記で)書いていた紫式部らしい一面も出ています。
ちなみにこの雨夜の品定めで、頭中にはすでに夕顔(この時点では撫子の女)の存在が、源氏には朝顔の君や花散里との文通のうわさなどが取りざたされ、後々の章段への複線になるエピソードが含まれていて、読むと深いです。
 でも、「指に噛み付いた女」「博士の娘」の話など、ついくすりとしてしまうエピソードも入っていますので、硬い話ばかりではありません。
 そして、こんな品定めをしている間でも、「藤壺様にしくはなし」と思っているしょーこりもない源君であるのでした。